孫子では、誰の目から見ても明らかな勝利というのは最善の勝ち方ではないとされます。
また、周囲の人たちが勝利を褒め立てるような勝ち方も最善の勝ち方ではないとされます。
細い毛を一本持ち上げたからといって、力持ちとは言われません。
太陽や月が見えるからといって、目が良いとは言われません。
雷が鳴る音が聞こえるからといって、耳が良いとは言われません。
これと同じように、真の戦上手は、当然のごとく勝つのです。
このため、真の戦上手は、戦に勝っても智名もなく、勇功もないのです。
つまり孫子において、最善の勝ち方とは、周囲の人たちが、それは勝って当たり前と思うような勝ち方です。
このため、その戦争で勝利を収めた将軍や将校は褒め称えられることがありません。
難しいことを、難しいと感じさせずに物事を解決することが最善ということになります。
確かにさりげなく勝利することは最善でしょうが、実際には非常に困難なことです。
ここでは、戦争においてはあらゆる戦略を試して勝利するのではなく、あらかじめ準備した戦略で当然のごとく勝てるように、事前にしっかり準備する必要性を説いているのだと思います。
また、この話を読んでいて思ったのが人の評価です。
さりげなく勝った将軍や将校たちは、智名もなく勇功もないと書いてあります。
この場合、勝利した将軍や兵士が正当に評価されない危険性があり、将軍や兵士のモチベーションが下がってしまう可能性があるということです。
人の評価は難しく、何を持って成果とし、何を持って優秀であるかという指標を明確にする必要があります。
経営者は、真に会社にとって必要な人材というものを高い視点と長いスパンで見極める必要があります。
上述のようにさりげなく勝利しているが、国益として優れた功績であれば、相当の褒賞を与える必要があります。
人は一生懸命頑張っている人を評価する傾向がありますが、頑張っているだけではなく、成果を上げている人も評価する必要があります。
このバランス感覚が重要なのだと思います。
人を見る目も養っていければと思います。
0 件のコメント:
コメントを投稿