孫子においては、戦争を始める前に本当に戦争をすべきか、そうでないかを十分検討することを説いています。
戦争を開始するか、戦争を回避するかは、自国と他国の戦力分析で決定することになります。
この戦力分析を行うために、五事を用いることになります。
五事とは、「道」、「天」、「地」、「将」、「法」のことです。
「道」は大義名分と言い換えても良いと思います。
戦争には大義名分が必要となります。
これは、兵士や国民の心を一つにする必要があるからです。
人の心とは脆いものですが、大義名分のもとに一度結束すると、一人の力×人数分以上の力を発揮するものです。
戦争においては1+1を2以上にするための大義名分が必須なのです。
「天」は、気象条件や時間的条件のことです。
暑い日と寒い日、晴れた日と雨の日、明るい時間と暗い時間など、気象条件や時間的条件で戦力は大きく異なります。
「地」とは、地理的条件のことです。
戦場が平野なのか、山中なのか、谷底なのか等、地理的条件は戦況に大きく影響を与えます。
「将」とは、戦争を指揮する大将の能力と言い換えて良いと思います。
すなわち、知・信・仁・勇・厳など、人間の器の大きさのことです。
「法」とは、軍の規律と言い換えても良いと思います。
すなわち、軍の持つ力を有効に活用するためには、軍の統制が保たれている必要があります。
命令に対して、如何に迅速に従順に行動できるかが勝敗を分けるといっても加減ではないと思います。
上述のように孫子では、開戦前の戦力分析に「道」、「天」、「地」、「将」、「法」の五事を用いて十分検討するように説かれています。
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