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2012年6月29日金曜日

孫子の兵法 まとめ


孫子は、兵法書でありながら、現代ビジネスにも応用できる内容となっています。

これは、孫子が戦争の勝敗を、事前準備で決している点と判断基準が深い人間考察に基づいているからだと考えられます。

孫子を単なる兵法書として読めば、現代のビジネスに応用できるところは少ないでしょうか。

しかし、孫子の根底にある、人間考察に基づく判断基準や戦争を始めるまでの事前準備の考え方、戦争中の判断基準などを深く読み取れば、現在ビジネスに応用できる部分が非常に多いことに気付くと思います。

今後の経営に生かすべく、これまでの内容をここにまとめました。

少しでもご参考になれば幸いです。

1.(始)計篇

2.作戦篇

3.謀攻篇

4.(軍)形篇

5.(兵)勢篇

6.虚実篇

7.軍争篇

8.九変篇

9.行軍篇

10.地形篇

11.九地篇

12.火攻篇

13.用間篇

それぞれの篇をクリックすると、それぞれの篇についての解説が表示されます。

2012年6月27日水曜日

孫子 上智

昔、殷の国が興ったとき、夏の国に伊摯がいた。

周の国が興ったとき、殷の国に呂牙がいた。

このように、明君賢将のみが優れた知能と決断力で、間者を使いこなし、大成功を収めている。

これこそが、戦争の要諦であり、全軍の拠り所なのである。

昔殷の国が、夏の国を滅ぼしたとき、夏の国には、優れた間者伊尹(いいん)がいました。


また同様に、周の国が殷の国を滅ぼしたとき、殷の国には優れた間者呂尚(りょしょう)がいました。


このように、大成功した君主、将軍の下には優れた間者がおり、この間者を使いこなしていたのです。


ビジネスに置き換えてみると、優れたリーダーの下には、優れた実務者がいるということでしょうか?


カリスマ性のあるリーダーと、淡々と実務をこなす優秀な参謀がいて、大成功するといえます。


鹿児島県の偉人でいえば、西郷隆盛公と大久保利通公の組み合わせは最適な組み合わせだったといえます。


大企業でいえば、ソニーの井深大氏と盛田昭夫氏、ホンダの本田宗一郎氏と藤沢武夫氏が有名なところでしょうか?


大成功した人の陰には、それを支える優秀な部下がいるということです。


さて、これで孫子の解説は終了です。


次回最終のまとめを行いたいと思います。

2012年6月25日月曜日

孫子 反間厚遇

敵軍を攻撃する際、敵の城を攻める際、敵兵を討たんとする際は、まず敵軍の守将(守りの要となる将軍)、その側近の者、取り次ぐ者、門番、従者の姓名を調べて、間者に探索させることが重要である。

もし敵軍の間者が自国内に潜入してきた際は、それを探し出し、懐柔し、自国の間者にする必要がある。

こうして、反間を採用するのである。

反間を用いて、郷間、内間を採用するのである。

そして、死間を送り込み、嘘の情報を流すのである。

こうすることで、生間は自分の任務を遂行できる。

君主は五間を熟知していなければならない。

五間を使いこなす要諦は、反間である。

反間を厚遇しなければならない。

ここでは、間者の用法について述べています。

孫子においては、情報収集と情報操作が重要な戦略となります。

戦わずして勝つには、あるいは自国軍の損害を最小に戦うためには、情報を収集し、敵軍の情報を操作する必要があります。

その際、最も重要なのが反間だといっています。

ビジネスに置き換えて考えると、市場の情報を収集するとともに、市場の世論を操作することも重要だといえます。

現在の市場でも、これは行われていることで、ヒット商品の陰に世論操作があることもあります。

消費者を騙す訳ではなく、新製品の優れた所を強調して、購買意欲を掻き立てる戦略です。

大企業向きの戦略です。

零細企業としては、如何に自社の技術が優れているかを理解してもらうことに注力すべきと思います。

2012年6月22日金曜日

孫子 間者の適性

全軍において、間者より親しきものはなく、報償は間者より厚きものはなく、秘密事は間者より秘密を知っているものはない。

知能、人格とも優れたものでなければ、間者を使いこなすことは不可能である。

神祇に厚くなければ、間者を使いこなすことは不可能である。

微妙な気配りが出来なければ、スパイ行動の成果を入手することは不可能である。

極めて繊細な問題である。

間者を用いないことはない。

万が一、間者が秘密を漏らすようなことがあれば、漏らしたものは当然、秘密を入手したものも殺すしかない。

孫子においては、間者の重要性が非常に高いことがうかがえます。

間者は、最も信頼できる者でなければなりません。

間者に対しては、最も厚遇しなければなりません。

間者にはきめ細やかな気配りが必要です。

そうしなければ、間者は存分に働いてくれないからです。

間者が裏切り、相手方の間者となれば、その損害は計り知れないものになります。

間者の心をしっかりと掴む必要があります。

また、万が一、間者が秘密を漏らすようなことがあれば、その秘密が拡散しないように、間者のみならず、秘密を知った人間まで殺すように書かれています。

現代ビジネスに置き換えて考えると、新製品開発の事前調査を行うものは、信頼がおけて、情報収集能力が長け、決して会社を裏切らない人間に任せる必要があるということです。

ここで、情報収集する人間が誤った情報を収集すれば、巨額の投資をした新製品が完成した際に、売れないという、目も当てられない結果を生み出すことになります。

情報収集する人間は有能で、信頼のおけるものに任せる必要があるということです。

2012年6月20日水曜日

孫子 五間

間者を用いるのに五種類の間者がいる。

郷間、内間、反間、死間、生間である。

五間を全て使いこなすことが重要である。

これを神紀という。

君主の宝である。

郷間とは、敵国の人間を間者として用いることである。

内間とは敵国の役人を間者として用いることである。

反間とは、敵国の間者を自国の間者として用いることである。

死間とは、デマなどを敵国国民に知らしめるための間者として用いることである。

生間とは、生還して敵国の情報を報告させるために用いることである。

ここでは、敵情をするための間者(スパイ)について述べています。

間者(スパイ)には五種類あり、それぞれを使いこなすことが重要であると述べています。

孫子においては、事前準備が重要であることから、間者(スパイ)による情報収集は大きな意味を持ちます。

そして、この情報収集の如何により戦争の勝敗が決するといっても過言ではありません。

この時代にあって、戦争における情報収集の重要性を述べている点で、孫子は優れた兵法書を言えると思います。

ビジネスに照らし合わせて考えれば、新製品開発において、事前に市場調査を行うことの重要性と同じだと思います。

大企業では、巨額の投資をして新製品開発を行うことがありますが、その方向性の正しさは、事前の市場調査の結果によります。

事前調査の結果が間違っていれば、優れた新製品が開発されても市場では売れないという結果になってしまいます。

孫子の兵法書における最重要項目は、事前調査を行い、客観的事実から、客観的判断を行うことだと思います。

2012年6月18日月曜日

孫子 敵情入手

いよいよここから用間篇です。

用間とは、スパイ活動、諜報活動のことです。

孫子曰く、戦争を始め、10万人の軍隊を擁し、千里先の敵国に遠征すれば、百姓の負担する金額や、公家の負担する金額は日に千金にもおよび、国内外が大騒ぎとなり、仕事ができなくなるものは70万個にも及ぶのである。

戦争は数年にもおよぶが、勝利は一日で決する。

それなのに、わずかなお金を惜しみ、敵情を調査しないのは、不仁の至りである。

軍隊の将軍には適さない。

主君の補佐役にも成れない。

戦争に勝つこともできないであろう。

明君賢将と言われる人が、戦争で勝ち続け、成功し、大衆の前に出てくるのは、情報を敵に先んじで知っているからである。

情報収集は、鬼神が入手するものではない。

自然現象で入手するわけではない。

経験によって入手するものでもない。

情報は必ず人の手によって入手するものである。

ここでも、戦争を開始することの負担の大きさを述べ、戦争を起こす前に事前調査をしっかり行うことが述べられています。

戦争では莫大なお金がかかるうえに、国民に大きな負担を強いることになります。

このため、戦争を開始する前に、敵国にスパイを送り込んで、しっかり調査することを勧めています。

そして、この調査は、神のお告げや、占いや、自らの勘と経験に基づくのではなく、人を送り込んで調査しなさいと言っています。

ここで重要なのは、人を送り込んで調査するということは、客観的事実に基づいて、客観的に判断するということです。

この判断に不確実なものや、根拠のないものを差し挟んではいけないということです。

この点は会社経営においても同じことが言えます。

客観的事実を積み上げて、客観的に判断する能力を身に着けたいと思います。

2012年6月17日日曜日

FYとは

FYとはFiscal Yearの略で日本語では会計年度ということは以前書きました。(FY2013の意味

インターネットで「FYとは」で検索すると上記の説明だけのものが多く、実際の期間について述べていないものが多くあります。

そして、FYとはで検索されるかたはFY2013がどの期間かを知りたくて検索する方がほとんどだと思います。

3月が決算期の場合、疑問点はFY2013が、2012年4月から2013年3月までなのか、2013年4月から2014年3月までなのかだと思います。

「FYとは」で検索すると、2013年4月から2014年3月までと2012年4月から2013年3月までとの両方の説明が有ります。

個人的調査結果と結論を以下に示します。

日本でFY表示を見かけるようになったのは、日本の大手企業が米国で株式を公開し始めた頃だと思います。

米国で株式を公開するためには、米国の会計基準に則って会計報告する必要があります。

この米国でFY2013というと、3月決算であれば2012年4月から2013年3月を表します。

また、9月決算であれば、2012年10月から2013年9月までとなります。

このため、日本での報告資料でもFY表記がCY(Caledar Year:暦年)と区別するために使用されるようになりました。

しかし、日本では2012年度(3月決算であれば、2012年4月から2013年3月)あるいは平成24年度(3月決算であれば平成24年4月から平成25年3月)が一般的であり、FY表記に1年のずれを感じてしまいます。

しかし、もともと英語から入ったFY表記なのですから、米国式にFY2013と表記した場合、2012年4月から2013年3月までと定義しないと、米国と日本で意味が異なってしまうことになります。

多くの人が、このことに違和感を感じていたと思います。

ところが、FYとは会計年度を表すということから、FY2013を2013年度と同義に使う企業が出てきました。

こうなると、FY2013がいつからいつまでなのか、わからなくなってしまいます。

このためでしょうか、最近の多くの企業の決算報告書をみると、FY2013の表記がほとんどなくなっているようです。

2013年3月期(2012年4月から2013年3月)や平成25年3月期(平成24年4月から平成25年3月)、2012年度(2012年4月から2013年3月)などの表記になっています。

日本人の感覚には2012年度(2012年4月から2013年3月)の方がなじみが深いためです。

インターネットで検索しても様々な説明があり、結局FY2013とはいつからいつまでなのか、わからなかったと記憶しています。

個人的結論は、FY2013は3月決算であれば、2012年4月から2013年3月までを表し、2013年4月から2014年3月までとするのは過ちだと思います。

JFY表記の薦めで書いていますが、2013年4月から2014年3月までを表すなら、JFY2013と表記すれば良いと思います。

FY表記による混乱や、FY表記による混乱回避法として、下記関連ページも併せて御覧いただければ幸いです。

FYに関する関連記事

FY2013の意味

FY表記によ る混乱

JFY表記の薦め

FYの定義

2012年6月15日金曜日

孫子 利合動利不合止

戦争に勝利し、敵国を奪い取っても、当初の目的を達成しなければ、その戦争は成功とはいえない。

このような状況を費留(費やした努力に対して得られるものが少ないこと)という。

優れた君主は目的達成を慮り、優れた将軍は目的達成を主とする。

有利でなければ戦争を起こさず、必ず得ることが出来る状況でなければ、用兵せず、どうしても戦わざるを得ない状況でなければ戦争をしない。

君主は自らの怒りをもって戦争を開始してはいけないし、将軍は自らの憤りをもって戦争をしてはいけない。

有利であれば動き、不利であれば止める。

怒りはいつしか喜びに、憤りはいつしか悦びに変わるかもしれないが、国が亡びたら復興することはないし、死んだ者は決して生き返らないのである。

だから、名君は戦争を慎み、名将は戦争を戒めるのである。

この考え、行動こそが国を安泰にし、軍を全うする道なのである。

ここでは、リーダーとしての重要な心得を示しています。

リーダーは己の怒りに任せて行動してはいけない。

リーダーは必ず勝てる有利な状況でなければ行動していはいけない。

なぜなら、国は一度滅びると、再興はできないし、戦争で死んでいった兵士たちは決して生き返らないからです。

戦争は、このような大きなリスクを背負って行うものだから、慎重の上にも慎重に判断する必要があると述べています。

これは、会社でも同じことが言えます。

会社は倒産すると多くの社員が路頭に彷徨うことになります。

これは、リーダーとして最もやってはいけないことだと思います。

リーダーの判断で勝負に出て、失敗したから倒産したでは済まないのです。

絶対に失敗しな状況を作り上げてからしか、勝負に出てはいけないということです。

また、リーダーは自分の怒りに任せて行動していはいけないという点も重要です。

リーダーは私利私欲を捨て、組織のため、あるいは世のため人のために行動すべきであると述べています。

リーダーとしての心得を端的に述べている部分だと思います。

2012年6月13日水曜日

孫子 火攻め、水攻め

攻撃に火攻めを用いるものは明晰な頭脳が必要である。

攻撃に水攻めを用いるものは強大な力が必要である。

水は敵の物資や戦力を分断することはできるが、物資や戦力を奪い取ることはできない。

戦争においては、火攻めや水攻めなど様々な戦略がありますが、孫子では水攻めより、火攻めの方が効果があるように書かれています。

火攻めは物資や戦力を奪うことが出来ますが、水攻めでは分断するにとどまるということです。

ここで学ぶべきは、各戦略において、必要とされる能力が異なるということではないでしょうか?

戦況において有効な戦略は異なりますが、最善の戦略を実行する場合、必要とされる将軍の能力は異なるので、自分(将軍)にその作戦を実行する能力があるか見極める必要があるということです。

ある方面に長けたリーダーであっても、ある方面には疎いということもあります。

このような状況では、選択する戦略が、戦況での最善の戦略ではないかもしれません。

孫子では、戦況だけでなく、将軍の能力等も考慮に入れて最善の戦略を選ぶことを推奨しています。

2012年6月11日月曜日

孫子 五火の変

火攻めにおいては、次に示す5つの変化に合わせて、攻撃方法を変えなければならない。

敵陣地内で火の手が上がれば、これに応じて外から攻撃を加えなければならない。

敵陣地内で火の手が上がっても、敵兵が冷静で反応がなければ、攻撃することなく、様子をうかがう必要がある。

火の勢いを見極め、勢いがあれば攻撃し、勢いがないようであれば攻撃を中止した方が良い。

敵陣地の外側から火を放つことが出来るのであれば、敵の反応に関係なく、時を持して火を放った方が良い。

風上で火の手が上がった場合、風下から攻撃してはいけない。

昼の風は長続きするが、夜の風はすぐに止む。

このように、火には様々な変化があるので、それに応じて攻撃する必要がある。

当時に戦争においては火攻めは有効な攻撃法であるので、そのケーススタディについて述べています。

ここで重要なのは、火攻めの場合のありとあらゆる状況を予測して、事前に攻撃方法を決めていることです。

繰り返しますが、孫子においては事前準備が大きな役割を持ちます。

火攻めの場合のすべきこと、すべきでないことが書かれています。

ビジネスにおいても同様で、事前準備が重要です。

前もって、想定される問題や状況を考えておけば、その場で慌てることがないのです。

まずは、間違いのない仮説を立てる訓練が必要かと思います。

2012年6月8日金曜日

孫子 火攻め

ここより、いよいよ火攻篇です。

孫子によると火攻めの目的は5つある。

一つめは人を焼く、二つめは兵糧を焼く、三つめは物資を焼く、四つめは倉庫を焼く、五つめは宿を焼くである。

火攻めを行うには条件がある。

火種を予め準備するのはもちろんである。

火をつけるのには時期がある。

火を起こすのに適した日がある。

時期とは空気が乾燥しているときである。

適した日とは、月が箕(き)、壁(へき)、翼(良よく)、軫(しん)にあるときである。

この時は風が吹く日である。

孫子の時代、火攻めは重要な作戦だったので、火攻めの目的、時期を明確にしています。

火攻めは空気が乾燥し、風が強い時に行えば効果的だということです。

ビジネスにおいて、重要なことは、重要なプロジェクトを開始する際に、その目的と効果的方法をあらかじめ準備しておくということです。

孫子では事前準備は必須であり、先を見越した事前準備を推奨しています。

世の中にはやってみないとわからない部分もありますが、実は、それは、考える能力がないからなのだと思います。

少なくとも自分の能力の範囲内だけでも先を見越した事前準備をしてプロジェクトを立ち上げたいと思います。

2012年6月6日水曜日

孫子 始めは処女の如く、後には脱兎の如し

戦争における重要事項は、敵の意向に従って、敵の注意を一点に向かわせ、千里先にいる敵の将軍を殺すことにある。

これを巧みに事を為すものという。

将に開戦しようとする日に、関所を封鎖し、通行許可証を破り捨て、敵国の使者を通過させることなく、会議を行い、決定する。

敵国に隙があれば、速やかに侵攻し、敵の重要拠点を秘かに落とす。

敵の状況に合わせて作戦を変化させる。

つまり始めは処女のように振る舞い、敵陣の門戸を開かせ、後には脱兎のように攻め入れば、敵は防ぐことが出来ないであろう。

ここでは、戦争においては、相手を油断させ、相手が油断している隙につけいることが重要だと説いています。

ここでも、孫子は正攻法だけでは駄目で、正攻法と奇襲戦法を組み合わせる重要性を説いています。

始めは処女の如くは、相手の言うままにおとなしく聞き入れているが、その裏では、相手の隙を突く準備をします。

そして、いざ好機と見るや脱兎のごとく攻め入るのです。

ビジネスにおいては、最新技術の開発を秘密裏に行い、機が熟すと同時に新製品をリリースし、他社の追従を許さない環境を作ることでしょうか?

いずれにせよ、自社のことだけではなく、他社や市場の状況を常に把握分析することが重要だと学びました。

2012年6月4日月曜日

孫子 死地に陥れて然る後に生く

諸外国の考え方や動向を知らないものは、予め諸外国と交渉することが出来ない。

山林、険阻、沼沢等の地形を知らないものは、軍を進めることが出来ない。

地元の道案内を用いないものは、地の利を生かすことが出来ない。

これらの一つでも欠ければ、覇王の兵とは言えない。

覇王の兵は、大国を攻撃すれば、軍隊を招集する間も与えないであろう。

脅威を敵に加えれば、敵国は外交をすることすら出来ないであろう。

そうすれば、外交を競い合うことなく、天下の権力を手中にし、自国の考え方を述べ、脅威を敵国に与えることが出来る。

そうなれば、城は容易に入手でき、敵国を容易に破ることが出来る。

通常とは異なる褒賞を与えたり、通常とは異なる命令を出したり、まるで一人の兵士を扱うがごとく、軍を扱うことが出来る。

兵士に命令を下す場合、言葉での説明は不要である。

兵士に命令を下す場合、良いことだけを告げ、悪いことは言う必要はない。

兵士は絶体絶命の状況に追い込まれて、生きの伸びることを真剣に考えるのである。

軍は死地に陥れて、勝敗を決するのである。

ここでも、兵士を絶体絶命の状況に追い込んで、死に物狂いで働かせることが必勝法であると書かれています。

しかし、ここに書いてあることをそのまま実行すると、後々大きな痛手を受ける危険性があると思います。

実際に、兵を騙して絶体絶命に追い込むのではなく、兵にをその気にさせる必要があると思います。

この部分の解釈は難しいと思います。

頭では、兵士を絶体絶命の状況に追い込んで、死に物狂いで働かせれば、いい仕事をすることはわかります。

しかし、良いことだけを告げて、悪いことは隠して、兵士を働かせるのは、現代では無理だと思います。

現代においては、社員が死に物狂いで働かせられるような疑似的死地を作り上げる必要がありそうです。

ここでは、集団の心を一つにして、死に物狂いで働く環境づくりが重要であることを理解したいと思います。

2012年6月1日金曜日

孫子 各地戦闘法

敵国に攻め入る場合、敵国の奥深くに侵攻すれば、兵士たちの心は一つになるが、それ程深くない時は心を一つにしにくいものである。

自国を出て、国境を越えて戦うということは、自国との縁が絶えるということである。

四方につながるところは衢地という。

敵国奥深くまで入ったところを重地という。

敵国に浅く入ったところを軽地という。

背後に堅固な岩場、前方が狭い道のようなところを囲地という。

逃げ道のない所を死地という。

散地(自国領内)では、兵士たちの心を一つにしようと努力する。

軽地では、兵士たちにいうことを聞かすように努力する。

争地(占領するれば有利となる地)では、敵の背後に回り込む努力をする。

交地(自軍も敵軍も進軍すべき地)では、守りを固めるように努力する。

衢地では、隣接諸外国とのつながりを強くしようと努力する。

重地では、食料の調達に努力する。

圮地(進行が困難なところ)では、進路を急ぐ努力をする。

囲地では、逃げ場を塞ぐ努力をする。

死地では、兵士たちに決死の覚悟で対しないと生き残れないことをわからせるように努力する。

兵士というものは、敵に包囲されれば、必死で防御し、やむを得ない状況になれば、必死で戦い、状況があまりにも逼迫すれば、命令に従うものである。

ここで書いてあることは、九地篇のはじめと同じ内容のところもありますが、各地での戦闘方法について述べてあります。

要点は、如何に兵士たちの心を掴んで、一つにするかということです。

兵士たちは、絶体絶命の状況におかれれば死ぬ物狂いで、心を一つにして戦うが、それ以外の場合も心を一つにするように仕向ける必要があります。

これは、ビジネスでも同様で、社員の心を一つにし、大きな目標に向かって邁進することが重要です。

仕事をするのは、一人一人の社員たちであり、その心を一つにすることが、大きな力を生み出すのです。

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